
(たまには露骨なサービスも大事よね)
喰霊 -零-の所感です。
1話で先の時間軸を描いてから戻るという演出方法なので、
結末が見えているお話なんてつまらないだろうと、高をくくっていた私ですが
黄泉お姉ちゃんのキャラに触れるたびに胸が締め付けられる想いに
だんだんなっていきました。
裏切っちゃダメだ!っと思わせてくれるよいお姉さんキャラに仕上がっているので
是非このやるせない感覚を味わってほしいですね。
屈託のない献身さと真っ直ぐな神楽への想い、自分が養子であることへの葛藤に加えて
垣間見えるその性格ゆえの人間的な弱さ、不器用なところに、純情なところ。
2008年を代表するヒロインに数えられる逸材だと私は思います。

それにしてもお金かかってますよ、このアニメ。
1話からその片鱗は見せているのですが、原画が多いのなんの。
霊を祓うのに刀をもって戦うという、古来からあるストロングスタイルなので、
バトル描写も見所であります。
特に私が好きなのは、科学の粋を集めて作った人工刀のギミック。
鞘から刀がすげー勢いで射出されるのを利用して刀をもったまま
ビルを飛び越えるという荒業に心が躍りました。6話あたりかな。
あと、霊力アイロンで戦ったり何気にとんでも兵器が満載です。
ゴーストバスターものって荒唐無稽なアイテムが多く出るのが珍しくないですが
元々胡散臭いものとして扱われているから素直に受け止められるんでしょうかね。
某絶対可憐の作者のゴーストスイーパーも怪しいアイテム郡が
目白押しだった気がします。
ああ、バトル車椅子なんかもすごかった。あんなんで戦ってる人初めて見たわ(笑

お話的なことに言及しますと、最終回を見た直後は涙で前が見えませんでした。
とにもかくにも黄泉お姉ちゃんのキャラが良すぎる。
私の心にどストレートに決まりました。
仲間に囲まれて、幸せの絶頂であるところから、次第に人間関係が悪化し
堕落し、悪に染まっていく過程はさながら
某ベルセルクの「蝕」にも似たものを感じました。
主人公である彼女がもたらしたカタルシスがアニメの面白さに直結していた。
なので、悲劇に身を裂かれそうになってもついつい先が気になってしまう
ジレンマを味わえると思います。
正直最初はやたらと人殺すし、こえー女子高生だな?、てかまた刀持った
女子高生かよくらいの捉え方でした見ていませんでしたが
黄泉お姉ちゃんの本質を見るにつれ、そんなことは微塵も感じなくなりましたね。
10話でやっと1?2話の時系列に追いつくのですが、同じものを見せられても
感じ方が全く違ったのになっているので、
あえて最初に未来の話をやったのは効果的な演出になっていると思いました。

ゴーストバスターものではありますが、1人の少女が精一杯生きた証の物語として
是非見ていただきたい作品です。
「喰霊 -零-」ってことで、これから本当の戦いが始まるみたいですが
もうこれで終わりでよいです。満腹です。