
『個人戦予選?第13戦』

数絵「…」

数絵「……」

数絵「………」

数絵「…………」

数絵(…ふん、弱い仲間など私の足を引っ張るだけの存在。
団体戦など興味はありません。
私にはおじいさまがいてくだされば……)

数絵「! おじいさ……」

女生徒A「あっ、見て見て、あそこに座っているの南浦プロじゃない!?」
女生徒B「ほんとだ! 私ファンだったんだよ?、サインくれるかな?」
女生徒C「渋いよね?!」
記者 「南浦プロ、今大会についてコメントを頂きたいのですが」
南浦祖父「む…ま、まあ、多少なら構わないが……」
数絵 「………」
・
・
・

南浦祖父「…さっきから、なにをむくれておるのだ、数絵」
数絵 「別に、むくれてなどいません」
南浦祖父「ずっと黙ったままではないか」
数絵 「周囲におだてられるままに多言を弄するようには
育てられた覚えがございませんので」
南浦祖父「…そ、そうだ、せっかくの機会なのだから、
他校の生徒たちと交流してみてはどうだ。
なんなら知り合いをあたって紹介してやっても……」
数絵 「おじいさまは黙っていてください」
南浦祖父「む、むう……」
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実況「個人戦予選、第12戦に出場する選手が入場しました。
各選手の能力について確認しておきましょう」
南浦数絵 (T)『東風』
東場で最大4順の不利
『南風』
南場で最大4順の有利
文堂星夏 (与)『キャプテンの助言』
4位のとき他家がリーチすると、手牌を見ることができる
東横桃子 (M)『ステルス』
6度目の局からステルスモード
福路美穂子(Y)『洞察眼』
他家がリーチした時、その手牌を見ることができる
『開眼』
他家全員の手牌が福路にのみ公開される
効果は局の終了までで、半荘中4回まで使える

実況「この対戦では平滝高校の南浦数絵選手を中心に見ていきましょう。
藤田プロ、この対戦のポイントはどこでしょうか」
藤田「東横、福路の対決に注目だ。
福路の開眼は東横のステルスを看破することができるが、
4回という回数制限がある。
しり上がりに調子を上げる南浦もいるから、
福路は前半は開眼を控えての立ち回りとなるだろう」
実況「注目の南浦選手はどう戦っていけばいいでしょうか」
藤田「これもきついところだな。
福路からは終盤でマークを受け、出アガリは期待できない。
東横も既にステルスを発動しているため出アガリは無い。
その二人の能力が弱い序盤は、当の本人も能力を制限されている。
南浦にとっては戦いにくい組み合わせになった」
実況「ありがとうございました。
なおここまでの各選手の成績ですが、
南浦選手、1戦して?22の17位
文堂選手、1戦して?4の9位
東横選手、3戦して+17の6位
福路選手、1戦して±0の8位
となっております。
東横選手はここを勝って決勝卓進出を決めたいところ。
それではまもなく、予選第13戦の対局開始となります」
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東家:文堂(与) 南家:南浦(T)
西家:東横(M) 北家:福路(Y)
『東一局』親:文堂 ドラ7ソウ
<南浦配牌>


実況「東一局の南浦選手は4順のツモ切りとなります」
藤田「後半から集中力を増すタイプ。 直線一気の追い込み馬だな」

南浦(たしかに東場は手が遅れる。しかしチャンスが無いわけではない。
最良の打ち回しをすれば、数順の不利など取り戻せる)
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南浦「リーチ」

実況「先制のリーチは南浦選手! 4順の不利を感じさせない軽快な手だ!」


南浦(この人にリーチは通用しない。しかしダマでは手が安い。
他の2人からの出アガリか、ツモアガリを狙いましょう)


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南浦「ツモ」

南浦「メンピンツモドラ1、1300・2600」

実況「南浦選手、ドラの7ソウでツモアガリです!
苦手とする東場で幸先の良いスタートを切りました!」

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『東二局』親:南浦 ドラ6万
<南浦配牌>

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福路「カン」

南浦(東を鳴き、2ソウのアンカン……テンパイ濃厚。
ここは無理せず、様子を見ましょう)
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福路「ロン」

福路「東ドラ1、2600です」

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『東三局』親:東横 ドラ5ピン
<南浦配牌>

南浦(東三局…2順の不利はあるけれど、染め手を狙いやすい配牌。
リャンメン受けとドラ色であるピンズを集めましょう)
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桃子「ロン!」

桃子「タンピン赤ドラ、11600っす!」

南浦「!!」

実況「親の東横選手、7順目のダマで11600!」
藤田「一番振り込みたくない相手に振り込んでしまったな」

南浦「……」


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『東三局1本場』親:東横 ドラ5ピン
<南浦配牌>

南浦(自風の北にドラが3枚。チャンス手だけれど、この流れで果たして…)
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福路「リーチ」

実況「福路選手、場に出ていない白単騎でのリーチ!」

南浦(これ以上の失点は出来ない。ここは降りる)



桃子「ロン!」

桃子「タンヤオ赤ドラ、5800は6100っす」

実況「リーチで攻めた福路選手ですが、東横選手の当たり牌を
一回で引いてきてしまいました。
東横選手がリードをさらに広げ、連荘です!」

吉留「ああ、ついてないなあ…」
池田「リーチかけたら、さすがのキャプテンでも振り込むし」

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『東三局2本場』親:東横 ドラ中
<南浦配牌>

南浦(…ここは耐えるしかない)
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福路「ツモ」

福路「中ドラ4、2200・4200です」

実況「独走を試みた東横選手でしたが、
福路選手の満貫で点差が縮まりました」

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『東四局』親:福路 ドラ6万

実況「6度目となったこの局より、東横選手がステルスモードに入ります」

実況「親番の福路選手、ここで1回目の開眼!
ステルスに入った東横選手も問答無用。
福路選手に対して全ての手牌がオープンされます」
<南浦配牌>


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南浦「リーチ」

南浦(出アガリが無いのなら、自力でのツモに賭ける他ない)
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南浦「ツモ」

南浦「リーチツモドラ2、2000・4000」

実況「南浦選手、他家の捨て牌には目もくれず、
見事にカンチャン待ちをツモっての満貫!
最下位から2位に躍り出て、東場を終えました!」

南浦(…東場を終えて24400……悪くない)

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『南一局』親:文堂 ドラ5万




実況「南場突入、ここより南浦選手は本領発揮。
ワンパイのリンシャン牌の反対側より、
南一局では1順、以降場が進むごとに最大4順の先行ツモ」
藤田「出来ることなら南三局、南四局あたりで親番を迎えたいところだったが」
実況「トップの東横選手は既にステルスモード、
3位につける福路選手はまだ3回の開眼を残しています。
後半はいったいどのような戦いが繰り広げられるのでしょうか」
<南浦配牌>

南浦(配牌が悪ければ、1順の有利で手が見違えるということはない)
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桃子「ポン」
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桃子「ツモ」

桃子「南ドラ2、1000・2000っす」

実況「南場に入っても好調の東横選手、再び2位以下に差を広げます」

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『南二局』親:南浦 ドラ3ソウ
<南浦配牌>

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文堂「リーチ」

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南浦「ロン」

南浦「チートイツ赤、4800」
(編注:リーチはかけていません)


南浦(…しのいだ。トップと1万点差以内なら手が届く)

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『南二局1本場』親:南浦 ドラ5ソウ
<南浦配牌>

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桃子「リーチ」


実況「東横選手のリーチに対して、福路選手が2回目の開眼!
待ちは1?4?7ピンの3面張です!」
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桃子「ツモ」

桃子「リーヅモドラ3、2100・4100」

南浦「…!」

実況「東横選手の満貫!
前局の和了で差を縮めた南浦選手でしたが、満貫の親被りで
トップの東横選手との差がさらに大きく広がりました!」

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『南三局』親:東横 ドラ4万

実況「福路選手、3回目の開眼です!」

南浦(トップとの差は21000点、さらに出アガリはない。
ここから勝つためには…!)

南浦「リーチ!」

実況「南三局、3順の先行ツモを活かして手を進めた南浦選手、
ダマのチートイツテンパイからドラを持ってくると、
待ちを変えてのリーチ宣言!」


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南浦「ツモ!」

南浦「3000・6000!」


実況「南浦選手、ドラを引いて跳満のツモあがり!
親番の東横選手から6000点を引き出し、一気に差を縮めました!」


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『南四局』親:福路 ドラ1ピン

実況「福路選手、4回目の開眼です!」

南浦(私の力が最大限に発揮される南四局。
トップとの差は3000点、出アガリは無し…)
<南浦配牌>

実況「南四局、南浦選手は4順の先行ツモを経てこの手牌!」
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南浦(仕上がった!)
南浦「リーチ!」

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福路「リーチです」


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南浦「ツモ!」

南浦「リーチツモ赤、裏1……2000・3900!」

実況「決まったああっ!
南浦選手、後半の素晴らしい追い上げで逆転勝利!
東横選手のステルス、福路選手の開眼を自らのツモでねじ伏せました!」

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実況「個人戦予選第13戦、トップを取ったのは…」

実況「平滝高校1年、南浦数絵選手です!」

実況「南浦選手の見事な勝利でした」
藤田「有利な南場とはいえ、出アガリの無い状況でよく和了した」
実況「惜しくも敗れました東横選手ですが、2位となったことで
決勝卓進出が濃厚となりました」
藤田「この展開で負けたら仕方ないだろう。
南浦の終盤の爆発力はたいしたものだ」
実況「3位となりました福路選手はいかがだったでしょうか」
藤田「リーチをかけては振り込む、開眼を使ってはツモあがられる、
見えていたところでどうしようもないという展開があるからな」
実況「ありがとうございました。それではまた次戦で、お会いいたしましょう!」
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【対局後記】
1位 T氏(南浦)
「相手が強かった中で、最高の勝ち方でした。
東場に強いタコスより南場に強い南浦さんのが強いよね。
終盤は他家もなにかと手に制限が加わるので。
おじいさま、褒めてください!」
2位 M氏(東横)
「後半の追い上げにはやられました。
完全に桃子ペースだと思っていたのに!!」
3位 Y氏(福路)
「こんなとき、キャプテンなら歯ぎしりしないでいられるの?」
4位 与一氏(文堂)
「文堂さんらしく空気を読んで、空気に徹することができました。」
こんなもんでしょ。」
これまでの対戦結果は
こちら