

実況「出場選手21名の中から、?1を決定しようというこの大会、解説にはお馴染み、
藤田プロにお越しいただきました」
藤田「よろしく」
実況「それでは個人戦予選、第1戦に出場する選手たちの入場です」

実況「風越女子高校2年、池田華菜選手!」

実況「鶴賀学園2年、妹尾佳織選手!」

実況「同じく鶴賀学園1年、東横桃子選手!」

実況「最後に龍門渕高校2年、沢村智紀選手!」

実況「なお今大会では、対局者の中から一人をクローズアップいたしまして、
藤田プロから対局の展望や戦略等について解説して頂くことになっています。
それではここで、各選手の特殊能力を確認しておきましょう」
池田華菜:持ち点が35000以上…支払点数が2倍
持ち点が15000未満…獲得点数が2倍
持ち点が1000未満…アガリは役満
妹尾佳織:役満をテンパイすると、次ツモでアガリ
東横桃子:6度目の局からステルスモード
沢村智紀:白が2役扱い
実況「さっそくですが藤田プロ、この対戦をどうご覧になりますか?」
藤田「中心は鶴賀の東横だろう。ステルスモードは非常に強力な能力だ。
発動すれば捨て牌が見えなくなる。よって放銃がない。序盤でリードを奪われては厳しいな」
実況「この対局では池田選手に注目していきます。どのように戦えばいいでしょうか」
藤田「序盤から強引に攻めればいい。大きく振り込んでも逆転の目は常にある。
だが35000点を超えるとマイナスの要素が大きい。点数調整をしつつ、
和了するなら大きい手で一気に突き放したいところだ」
実況「ありがとうございました。いよいよ注目の第1戦、対局開始です!」


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『東一局』親:沢村


実況「さあ、始まりました。各選手の立ち上がりに注目していきましょう」

妹尾「そ、それもポンです!」

実況「おおっと、鶴賀学園の妹尾選手、開始数順で自風の西とドラの9万をポン!」

池田(いきなり西ドラ3確定……開始早々、無理はできないな)
実況「池田選手、ここは無理をせず現物から切っていきます」
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妹尾「つ、ツモです!


実況「妹尾選手、西ドラ3で満貫、2000・4000の和了です!」
藤田「お手軽だな」

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『東二局』親:東横

妹尾「り、リーチです」

実況「妹尾選手、前局での勢いに乗って先制リーチ。沢村選手、池田選手が現物を切っていく中、
親の東横選手は強気で向かっていきます」

妹尾「そ、それです」

注:T 「画像がボケたので撮り直したところ、ドラ表示牌を間違えてしまいました」
実況「これは高い!リーチ三色役牌、赤ドラにウラが乗っての跳満!
東横選手、これは痛恨の振り込み!」

藤田「親で連荘をすれば、それだけステルスの発動が早まる。強引に攻めたことが裏目に出たな」

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『東三局』親:妹尾

実況「満貫、跳満と立て続けに和了した妹尾選手、ここでも9順目に先制リーチだ!」
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妹尾「あがりました!」

実況「リーヅモ、タンヤオ赤、ウラが3枚!跳満の6000点オールです!
妹尾選手、勢いが止まりません!」
藤田「周囲はたまったものではないな」

池田(なんなんだよこいつ…!このままじゃマズい、なんとか流れを変えないと!)

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『東三局一本場』親:妹尾
実況「ここで池田選手の配牌を見てみましょう」


池田(これなら形になりそうだ)
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池田「リーチ!」


池田「ツモ!」

池田「1300・2600は1400・2700!」
実況「池田選手、カン4万を引いてツモあがり。さあ、どこまでトップに喰らいつけるのか」

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『東四局』親:池田

池田(よし、親番だ。連荘してトップに近づくぞ!)

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池田「リーチ!」


池田「ツモ!」

池田「2000オール!」
実況「池田選手、2局続けてのカンチャンツモあがり!」
「このまま波に乗っていけるのでしょうか」

池田(まだまだ、ここからが勝負だ!)

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『東四局一本場』親:池田

実況「東横選手、この局からステルス能力の発動です。しかし残った点数は僅か。
ここから巻き返せるのでしょうか。
なお東横選手の捨て牌は、対局者からはこのように見えています」


池田(牌が見えないなんて、むちゃくちゃだし)
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池田(手が進まない…ここは安全牌を確保しながら様子を見よう)

沢村「チー」
実況「沢村選手、ソーズとピンズの123で2フーロです」

池田(下家は明らかなチャンタ手。ドラの北は場に出ていない。
強引な鳴きから考えると、北がトイツやアンコで入っている可能性が高いな。
上家も不気味だし、ここはベタ降りだ)

池田(まずは場に3枚出ている白から切っていこう。せっかくの親番だけど、流れはまた必ず来る!)

沢村「…ロン」

池田(……えっ?)

沢村「チャンタドラ3、7700は8000」

池田(な、なんで、どうしてっ…!?)

実況「池田選手、ここでションパイのドラ『北』を切って放銃です!」
藤田「ありえん」






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池田(白と北を切り間違えたっ…!!!)

実況「振り込んだ池田選手、動揺を隠せません。あるいは牌の見間違えか何かだったのでしょうか」
藤田「だろうな。今大会は特殊なデザインの牌を使っている。今日がその1戦目だ」

藤田「字牌だけではなく、1万、1ソウあたりもパッと見わかりづらい」
実況「なるほど。より高い集中力が求められるわけですね」
藤田「…まあ、そう言えなくもないが」


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『南一局』親:沢村

実況「南場へと移ります。前局振り込みの池田選手、気を取り直して頑張ってもらいたいものです」

沢村「リーチ」
妹尾「私もリーチです」

実況「親の沢村選手が10順目でリーチ、これを妹尾選手が追いかける!」
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実況「…さあ妹尾選手、これがハイテイ牌となりますが…」

妹尾「えっと…あがりました」


実況「な、なんとハイテイツモ!1000・2000のアガリで、更にリードを広げます!」
藤田「バカヅキだな」

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『南二局』親:東横
実況「妹尾選手がリーチをかけましたが流局、東横選手はテンパイを死守しました」

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『南二局一本場(リーチ供託1本)』親:東横

池田「リーチ!」

池田「ツモ!700・1300は800・1400!」
実況「池田選手のアガリで、親の東横選手、再び点数が1000点を割ってしまいました」

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『南三局』親:妹尾

東横「…ツモっす」

実況「東横選手、タンピン三色ツモで満貫!」
藤田「この手が前局に来ていれば、違った展開があったかもな。
総じてツキがないときはこんなものだ」

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『南四局』親:池田

池田(このままじゃ、終われない!)
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池田(きた!逆転へ望みを繋ぐ手!)

池田「リーチだし!」


池田「ツモ!」

池田「メンピンツモ、イーペーコードラ3、6000オール!」

実況「池田選手、渾身の跳満ツモ!トップを射程圏内に捉えるか」

池田(これで次局、さらに満貫をツモれば……華菜ちゃん、奇跡の逆転勝利だし!)

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『南四局一本場』親:池田

池田(配牌良くないし…)
実況「なお池田選手、持ち点が35000点を超えましたので、得点の支払いが2倍となります」
藤田「他の下位選手から見れば、絶好のカモだな」

沢村「リーチ」

実況「10順目、沢村選手からリーチが入りました。池田選手はオーラスの親ながら、
手が進んでいません」
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池田(テンパれないし…)

実況「池田選手はノーテン、流局で対局終了となりました」

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実況「個人戦予選第1戦、トップを取ったのは…」

実況「鶴賀学園2年、妹尾佳織選手です!」

実況「藤田プロ、今回の対戦について、いかがでしょう」
藤田「序盤の妹尾の連続和了で大勢は決していたな。東横にはツキがなかった。
どんなに強力な能力でも、他家のちょっとした幸運でひっくり返るのが麻雀だ」
実況「池田選手について、一言お願いします」
藤田「笑えた」
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久保「池田ァァッ!!」
池田「は、はいっ!」

久保「てめえ、さっきの『北』はなんだ!!!」

久保「普段から調子こいていやがるから、あんなミスをするんだ!!!」


久保「てめえ、これ以上風越の名に泥を塗るようなマネをしてみろ!
部を追い出すだけでは済ませないからな!!」
池田「ううっ…!」

コーチ「聞いてんのかコラぁッ!池田ァァッ!!」
池田「はいいぃぃっ!」
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【対局後記】
1位 与一氏(妹尾)
「これだから麻雀は面白い、せ、背中が重いぃぃぃ!!」
2位 T氏(池田)
「序盤からマイナスを気にせず戦えることが池田の強みですね。牌を見間違えるという
恥ずかしいミスがありましたが、最後まで図々しい華菜ちゃんらしく戦えたんじゃないかと思います」
3位 M氏(沢村)
「意外と特殊能力【白い壁紙】を発動できませんでした。負けたけど、
地味に味があるキャラだと思うな。ちなみに、1萬2荘3荘でチーしましたが、
誰にも気付かれませんでした(自分含む)」
4位 Y氏(東横)
「ステルスの維持にこだわって痛い目を見てしまいました。
強キャラの能力に引きずられてしまわないよう今後は気をつけます…。
でもステルスめっちゃおもろい」