
(これはうまいなぁ、思わず顔がニヤけるラストだった)
四畳半神話大系 第11話の所感です。
このアニメとしては珍しい、前回からの引きで始まりました。
大学時代に何もせず、引きこもることを選んだ「私」はそのうち外の世界から孤立し
平行世界の「私」の四畳半にしか行けなくなるという、荒唐無稽な設定でしたが
物語の面白さがそんなことは気にさせなかった。
様々な「私」の生き方を知り、自分ができるはずだった可能性を悔やみ
人とのつながりを渇望する様子からは、斜に構えているより突っ込んで
青春を謳歌しようぜという、ありきたりの人生賛歌が伝わってきました。
言葉で表すとそれまでなんですが、オズや先輩諸氏とのこれまでの経験
(平行世界ではありますが)を加味しつつオズに抱きつく「私」を見ると
胸の鼓動が早くならざるを得ません。
色々な世界の私の衣を脱ぎ捨てながら最後は裸になりオズに抱きつくところは
動きがあり、メッセージ性も高くてすごく良いシーンだったなあ。
明石さん含め周りの人は裸にあまりひいていないのはご愛嬌ってことかな(笑

世界の時間軸がループし、起こり得る事象を説明しながら
各登場人物のキャラクターを立たせることで、ラストの回は大した説明もないけど
どのキャラクターがどのような考えをもってそこに居合わせているのかが分かる。
実にうまい演出になっていたと思います。
物語のラストで冒頭のシーンにつながるという手法は
そこまで珍しいものではありませんが、これまで散々オズにしてやれてきた「私」が
逆の立場で冷やかすようになるとは、脱帽でした。微笑みながら唸りましたね。
そして流れるOP。憎いなぁ。これをするために最終回の最初に
わざわざED流したんだよね。
やたらと主張する「本編はこの後!」という字幕には
必死だなと思わず苦笑してしまいましたが。

何で、そうなるのか。世界がループするなんてあり得ないじゃないか。
とかそんな矛盾点はどこ吹く風。
作り手が何を楽しんでほしいかがちゃんと表現されている作品では
野暮な突っ込みですね。
明石さんとのイチャツキを持ち前のニヒルな視点の自虐めいた説明でスルーなのは
さすがといったところ。結局はオズと仲良しな「私」を見て満足至極。
回りくどいコメディ性のシナリオや、挑戦的な数々の演出手法をはじめ、
非常にノイタミナらしいアニメでした。楽しかった。
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(その一線だけは越えちゃいけない気がする)
四畳半神話大系 第07話の所感です。
前回から引き続き、人生最初のモテ期に突入した「私」がギャルゲライクな
三択に悩まされるお話。パート2。大学のサークル仲間の先輩を選ぶのが
どう考えても唯一の正解な気がしますが、あえて時間を戻してまで
描かれたのは「私」がドールに狂っていく様子でした。
ゲームによくある、分かりやすいバッドエンドルートにみすみす
ハマッてしまうとは。前の演劇部の時は嘲笑する側だったのに、
どうしてこうも流されやすい人間なんだろうこいつは(笑
確かに美しいだろうけども、私はその領域へた辿り着けそうもありません。

ドールの世話をするうちに聞こえてきたカオリの声って、「私」が出してますよね。
脳内彼女の声は妄想した男の声って悲しすぎる演出だなぁ。
ジョニー役の檜山さんがやるのはさすがに無茶がありすぎますが(笑
つか、真の妄想家なら脳内で声優に自由な言葉を喋らせることも余裕のはず。
アニオタのコモンセンスだと勝手に思っているのですが、違いますかね。
どうでもいいですね。
案の定失敗に終わった(成功していても子供は無理でしょうが)今回。
次回遂に最後のルートが明かされるわけで。
文通相手の正体はオズか、師匠か、大穴の明石さんか!気になりますな。
人生を何度も繰り返すループ系のアニメですが、着地点はー、
やっぱ明石さんとネンゴロになるのかな。
こんなにやり直しているのに、ダメな「私」が素直にくっつくとは思えませんが、
1話で神様が縁結びめいたこと言ってるし、どうなることやら。
えー、明石さんの出番をもっとください。

(文字通りの空回りっぷりに悲哀さえ感じてしまう)
四畳半神話大系 第03話の所感です。
毎回大学入学時に時間軸が戻って、主人公がどのような境遇に置かれるかを描き
キャンパスライフの意義をコメディチックに伝えるというコンセプトのアニメ。
というのは2話を見た時点でやっと分かるギミック。ああ、驚いた。
あえて1話と同じ構図を多用したのはループする話だと、視聴者に分かりやすく
示すためだったんですねぇ。蛾のイベントとか。
そんなルールの下、今回は自転車サークルに入るお話。
何百万もしそうな自転車のパーツ集めたり、ママチャリで四国から京都まで
帰ってきたり、この主人公ってパワーだけは人一倍ありますよね。
ただ、その発揮の仕方がいつも間違っている。
明石さんに言われてから筋肉ムキムキになれるなら、自転車部時代に
なっときゃいいものを(笑

何故か自転車盗み稼業をしていたり、悪の道に誘ったりと
オズが主人公の悪友であることは一目瞭然なのですが
彼の影にいつも1話で出てきた神様がいるんですよね。
よく考えれば、自転車を盗難しなければ明石さんとの再会もなかったわけだし
お願いされた縁結びの役割をちゃんとこなして、チャンスを与えているのかなって。
そんな風に受け取ってもいいのかしら。
まあ、オズ自体は何考えてるか分かりませんが(笑
主人公の不幸な属性により、毎回失敗してはいますが同じ失敗はしていないのが
面白いところ。ループしているはずなのに、少しずつ成長しているから
展開がどうなるか予測がつかなくて良いです。
映画サークルの先輩がそのままの立場で再登場し、
なんかよき先輩として君臨していたりと、どうやら立場が変わるのは
主人公、オズ、明石さんみたい?
オッパイクライミングがそのままトレーニングに採用されていたのは笑ったな。

明石さんとの約束が果たされて最終回という流れになるのか
それとも人形を渡してからループではなく、メインのシナリオが始まるのか。
分かりませんが、まーいまはこれはこれで演出が楽しいので見てて飽きないです。
前の所感でラブコメと書きましたが、青春グラフィティといった風が強いですね。

(この上目遣いは姿勢も込みでグっとくる 合わせ技一本です)
四畳半神話大系 第01話の所感です。
大学デビューに失敗したことをきっかけに他人の恋愛を妬むばかりか、
ぶち壊すことに心身を注いできた大学生の主人公が、縁結びの神様と出会う。
これをきっかけに毛嫌いする一方で焦がれいた恋愛の道に足を突っ込もうと
奮闘するお話だとお見受けしました。
ほとんどが主人公による一人称視点のモノローグで進んでいく演出は
涼宮ハルヒのキョンを彷彿とさせるものがあります。
今作はそれをもっと濃密に、日本語の妙を使って主人公の葛藤を
面白おかしく表現していますね。

主人公の恋愛の対象として出てきた明石さん。これまたどこか外れている感じの
男がよりつかなさそうなタイプ。坂本さんの声も相まって中々にキュート。
主人公のことを嫌悪せず、むしろ好意的に接しているところもあるので
脈がないわけではない?
少なくともオズなんかにあげるにはもったいないという主人公の思いには同意。
1話のラストカットで時間が戻るような演出が入ってましたけど、次は回想シーンかな。
主人公がどのようにして悪鬼羅刹の道に堕ちていったのかが、モノローグを通じて
事細かに語られることでしょう。

前述のとおり、モノローグに塗れていますけどテンポが悪いわけではなく、
むしろ早口なので聞き取るのが大変なほど情報が詰まっています。
(主にくだらない葛藤ですが)
絵柄の独特さもさることながら、この雰囲気は新鮮。
変化球なラブコメとして、今後も期待できそうです。
橋の上では満足に声もかけられませんでしたが
主人公は初めて女として明石さんを見て舞い上がっているだけだったと思います。
彼女に惚れる過程を、彼女が主人公に惚れる過程をどのように描いていくのか
楽しみですね。