普段生活する中で、桜が一片舞い落ちることに何らかの感慨を覚えたり
風と木々のざわめきで物思いに耽ったりする大変にメランコリックな女の子が主人公。
しかし、自分からは何を言うでもなく感受性豊かな心が受け止めているものを
言葉に紡ぎだすのは苦手という口下手な性格。
そんな子が学校や日々生きている中でちっぽけなことに小さい喜びを感じるという、
ありきたりな言い方ですが雰囲気偏重のアニメでした。

けったいな設定はなく、美術部の仲間と絵を描いたり買い物をしたり合宿をしたり等
本当に普通の生活の中での時間の移ろいを穏やかな演出で描いた作品です。
主人公以外の部員にはキャラクター的に濃い人達が少なからず存在しますが、
それすらも物語の良いスパイスとして作用していて、くすくす笑いながら、
ちょっぴり感傷的になりながら、あったかくなれるアニメだと思いました。
各キャラクターに割り振られている声優さんたちが
普段とは違う役柄(特に女性陣)を演じてるのも中々に味わい深いですよ。
田村ゆかりさんのこんなキャラは他にいないんじゃないだろうか(笑
そんな雰囲気とは裏腹に全13話の中で主人公の周りの猫達だけでお話が進む、
猫回が3回程ありますが猫の時は別のアニメとして見たほうがよさそうです。
コメディ色が大変色濃くなるので(笑 嫌いじゃないですけどね。むしろ好き。

日常に起こり得る、特に何でもないようなエピソードがお話のほとんどなのですが、
眠くなりすぎず、うるさくなりすぎず、良い癒しアニメだと思います。
ラストシーンで名曲「たんぽぽ水車」が流れる中で、登場キャラクターの
楽しんで生きている様を見ると、明日も頑張ろう!っていう気持ちになれます。
名前を呼ぶって行動だけで、感動させられるアニメってのも中々ないですよ。
綿密なドラマ性があるわけでもなく、深い感情の揺れ動きを生み出す類のものではないので、
退屈に思う人もいるかもしれませんが、万人にお勧めしたい作品です。