

蒲原「ワハハ、お次は私とむっきーの出番だな。
仲間だからって容赦はしないぞ」
津山「はい」

蒲原「…で、佳織はどっちの応援をするんだ?
まさか、幼馴染の私を差し置いて?…」
妹尾「え、そ、それは…」
加治木「よさんか、蒲原」

加治木「睦月。たしかに相手は強敵揃いだが、
お前にだって、この場に立つに相応しい実力がある。
あまり気負わず、いつも通りの自分を心がけるんだ」
津山「はい、加治木先輩」

妹尾「そ、それに今回はチームメイトもいるから、
前回より勝ちやすいかもしれないです!」
蒲原「ワハハ、それはどういう意味かね、佳織くん」

津山(前回は殆ど何も出来ずに4位…その相手が2人、また同じ卓になった。
実力では及ばないが、それでも勝つチャンスはあるはずだ。私なりに、精一杯)
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実況「個人戦予選、第4戦の出場選手が入場しました。
それでは、各選手の能力を確認しておきましょう」
津山睦月(T) 和了した回数分、得点に300点ずつ上乗せされる
池田華菜(与) 持ち点が35000以上…支払点数が2倍
持ち点が15000未満…獲得点数が2倍
持ち点が1000未満…アガリは役満
蒲原智美(Y) リーチをかけて和了すると、裏ドラを一枚増やせる
龍門渕透華(M) リーチが2役になる

実況「なおこの対戦では、鶴賀学園の津山睦月選手を中心に実況・解説を進めてまいります。
藤田プロ、この対戦の見所はどこになりますか」
藤田「蒲原と龍門渕透華のリーチが強いうえ、風越の池田は振込みを気にせずに戦える。
互いの強みをぶつけ合う接近戦になるだろうな」
実況「津山選手はどのように戦えばいいでしょう」
藤田「鳴いてでもアガリを重ねたいところだが、ここでは他家のリーチが強力で攻め難い。
だが逆に考えれば、蒲原と龍門渕透華のリーチが強力だということは
リーチがかからないうちはテンパイの可能性が低いということだ。
攻めるときはスピード重視、降りるなら徹底して振込みを避けるべきだろう」
実況「ありがとうございました。まもなく予選第4戦の開始となります」
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東家:池田(与) 南家:蒲原(Y)
西家:津山(T) 北家:透華(M)
『東一局』親:津山 ドラ1ピン

実況「起家は池田選手となりました。津山選手は西家スタートです」
<津山配牌>



実況「池田選手は早くも3試合目の出場となりますね。
ここまで2位、1位と、好調を持続しています」
藤田「決勝卓に進む8枠に入るには、2勝は欲しいところだ」

池田「リーチだし!」
実況「おおっと、池田選手、先制の親リーチ!」

蒲原「ワハハ、リーチ」
実況「蒲原選手、これを追いかける!」
・
・
・

池田「ツモ!」

池田「メンピンツモ、赤ドラ!4000オール!」

実況「池田選手、親番で満貫をツモあがり!」

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『東一局一本場』親:池田 ドラ6ピン

実況「なお池田選手、先ほどのアガリで持ち点が35000点を超えました。
この状態での他家への支払いは2倍となります」
藤田「試合はまだ序盤だ。よほどの大物手でもない限り、大人しく
35000点以下になるのを待ったほうがいいだろう」
実況「それでは津山選手の配牌を見てみましょう」
<津山配牌>


津山(好機…!)
実況「配牌からアンコが二つ、しかも6ピンはドラです」
藤田「タンヤオの仕掛けもできる。なんとしてもモノにしたい手だ」
実況「津山選手、次順に9ソウ、さらに白を重ねたところで、5ピンを切り出しました」
藤田「ドラの6ピン3枚を使い切るには、5ピンは使いにくいからな」
津山「ポン!」
実況「津山選手、トイメンの9ソウを鳴き、6万と白でのシャボ待ちに受けます。
トイトイにドラ3が確定、白でツモれば三暗刻で倍満まであります」
藤田「さて、どこから出るか」
・
・
・


津山「ろ、ロン!」

津山「トイトイドラ3、満貫の8000は、16000の16300!」


実況「こ、これに振り込んだのは池田選手!!
池田選手に適用される特殊ルールにより、
満貫の8000点が、倍の16000点になります!」
藤田「出る池田は打たれる、か」
実況「津山選手、これは大きなアガリとなりました」


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『東二局』親:蒲原 ドラ発
<津山配牌>

実況「東二局の津山選手、手牌にドラの発が2枚。
これを活かして和了することができるのでしょうか」
・
・
・

透華「リーチですわ!」
実況「龍門渕選手、6順目の先制リーチ!」

池田「リーチ!」
実況「9順目、池田選手もこれに続きます」
・
・
・
実況「流局です。
津山選手、ドラの発待ちテンパイも実りませんでした」

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『東三局・一本場・供託2本』親:津山 ドラ6ピン
<津山配牌>

・
・
・

津山「ポン!」
・
・
・


津山「ロン!」

津山「2900は3200の、3500です」
実況「放銃は池田選手、津山選手はこれまでに1度の和了をしていますので、
アガリ点に300点が加算されます」

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『東三局・二本場』親:津山 ドラ3万
<津山配牌>

・
・
・

津山「リーチ」

実況「津山選手、ドラ3万待ちでのリーチです。
藤田プロ、このリーチはどう見ますか?」
藤田「手変わりを待ったところで、劇的に変わる手でもない。
運良くツモれば良し、他家への牽制としても早いリーチは効果的だ」
・
・
・
実況「場は12順、各選手、親の津山選手のリーチを警戒しています」

蒲原「チー」
実況「蒲原選手、2ソウを鳴きました。
これでチンイツのイーシャンテンとなりますが……」

津山「ロン」

津山「リーチドラドラ、9600の10200は、10800です」

実況「蒲原選手、ドラの3万を切って放銃となりました。
津山選手、三度目の和了で600点が加算されます。
ここはドラの3万が出ましたね」
藤田「場にスジの6万が通っているうえ、4万が3枚見えている。
スジとワンチャンスを頼りにしてのドラ切りだったな。
場を見る限りでは最も安全な牌の一つだったと言えるが、
ドラに関しては単騎や悪待ちも十分に有り得ることだ」

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『東三局・三本場』親:津山 ドラ3ソウ

津山「ツモ!3900オールは4200の、4500オールです」
(編注?画像撮り忘れ)
実況「津山選手、勢いが止まりません!
四度目の和了で、さらに900点が加算されます」

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『東三局・四本場』親:津山 ドラ3ピン

池田「にゃ??????!!」
実況「池田選手の持ち点が15000点を割りました。
この状態での池田選手の和了は、得点が2倍になります」
藤田「対局中に大声を上げるのはよろしくない」
実況「運営側より注意が入った模様です」
<津山配牌>

・
・
・

池田「リーチ!」
実況「池田選手、リーチ!
トップを走る津山選手、ここは安全牌を切っていきます」
藤田「今の池田に跳満を振り込めば24000点。
きっぱりと降りたほうが身のためだ」
・
・
・
実況「流局。
終盤に蒲原選手がリーチをかけましたが、実りませんでした」

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『東四局・五本場』親:透華 ドラ白
<津山配牌>

・
・
・

池田「リーチ!」
実況「またも池田選手のリーチ!
他家はこれにどう対応していくのでしょう」

蒲原「ポン!」
実況「蒲原選手が動いた!池田選手のリーチに対し、強気に牌を切っていきます!」


・
・
・

池田「!」
実況「池田選手、ここでションパイのドラ白を持ってきた!」

蒲原「ロン!」

蒲原「白ドラ4、8000は5本場で、9500!」

実況「ここは蒲原選手が競り勝ちました!」

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『南一局』親:池田 ドラ9万
実況「長かった東場がようやく終了、南場に入ります」
<津山配牌>

・
・
・

透華「リーチですわ!」
実況「鳴りを潜めていた感のある龍門渕選手ですが、ここでリーチ」
・
・
・
透華「ロン!ですわ!」

透華「リーチ(2役)チートイツ、ウラウラ、12000!」

実況「放銃は蒲原選手!他家の使いにくい1万単騎でのチートイツ、
通常なら満貫の手ですが、リーチの2役で跳満となりました」
藤田「ということは、ダブルリーチだと3役になるのか。一度やってみたいな」

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『南二局』親:蒲原 ドラ東
<津山配牌>

・
・
・
実況「蒲原選手が12順目でリーチをかけましたが流局。
蒲原選手の一人テンパイです」
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・
・


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『南二局一本場・供託1本』親:蒲原 ドラ東

実況「こ、これは大変なことになりました!池田選手の残り点数が1700点、
『持ち点が1000点未満のときアガリが役満』となりますので、
池田選手がこの局、リーチをかけますと残り点数は700点となり、
役満となる条件が成立します!」
藤田「津山の持ち点が66600点。もし池田が津山からあがれば、
池田が35000点、津山が34300点となり、逆転するな

津山(どうする…)
<津山配牌>

・
・
・
津山「ポン!チー!ポン!」

実況「津山選手、役牌の南を鳴き、さらに2フーロ。
6順目、ダブ南ドラ4で跳満テンパイ、待ちは2?5ピンです。
安全策を取るかと思いましたが、ここは攻めていきましたね」
藤田「池田のリーチがかかるまで、安全そうな牌を集めたとしても、
確実に降り切れるという保障はない。自分の和了を目指したほうが
得策だと考えたのだろうが、自分があがれるという保障もない。
さて、どうなるかな」
津山(張った…これをあがれば、私の勝…)

池田「リーチせずにはいられないな」
津山「!!」

実況「き、きました、池田選手の役満確定リーチ!!」
<池田手牌>

実況「待ちは2?5ソウ!しかし5ソウは津山選手がポンをしており、
さらに2ソウは、津山選手がトイツで抱えています!
この待ちはさすがに出ませんか」
藤田「どうかな。私は、津山の放銃は十分にありえると思うが」

津山(どうする…私の手元には、2ソウが2枚に、3ピンと4ピン…。
振込みは絶対に避けなければ…しかし、安全牌が無い…。
どれも危険牌なら、一度通せば2順しのげる、2ソウを切っていくべきか…)

藤田「…」

津山(…いや、逃げたらダメだ!3フーロしてまで作ったこの手、この状態から
降りたところで、数順後にはまた手詰まりになる。
ここは前へ、アガリに向かって精一杯!)

実況「蒲原選手、現物を切りました。津山選手のツモ番となります」

津山「…ツモ!!」

池田「!!」

津山「ダブ南ドラ4、3000・6000は3100・6100の、
3500・6500!」

実況「津山選手、池田選手のリーチに対し、一度目のツモで和了!
これにより蒲原選手、池田選手の持ち点がマイナスとなりました!
対局終了です!」



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実況「個人戦予選第4戦、トップを取ったのは…」

実況「鶴賀学園2年、津山睦月選手です!」

実況「藤田プロ、今回の対戦はいかがでしたか」
藤田「津山のツキが尋常ではなかったが、中心は良くも悪くも
池田だったな。15000点を切った池田は、
上位陣にとっては常に気が抜けない厄介な相手となる。
蒲原は積極的にリーチをかけていたが実らなかった。
龍門渕透華はこの荒れた場で上手く立ち回ったんじゃないか。
まあ、ほとんど目立たなかったが」
実況「ありがとうございました。それではまた次戦で、お会いいたしましょう」
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蒲原「いやー、まいったまいった。
むっきーったら、まったく手加減してくれないんだもの」
桃子「おめでとうございます、むっちゃん先輩」
津山「い、いや…」

蒲原「お、順位表が出ているぞ。一位がむっきー、二位に佳織か。
圧倒的ではないか我が鶴賀学園は、ワハハ」
桃子「ワースト3も、鶴賀っすけどね…」
加治木「…」
蒲原「ワハハ…」
加治木「なにはともあれ、よくやった、睦月。
これなら決勝卓への進出も、現実味を帯びてきたな」
津山「決勝…わ、わたしが…?!」
津山「………」
桃子「むっちゃん先輩、固まっちゃいました」
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久保「……池田」

池田「…!」
福路「コーチ、華菜は精一杯がんばりました」

久保「顔を上げろ、池田」


久保「麻雀は、打牌の効率や読みだけで勝負するものではない。
場の空気、相手の気配、そういったものを含めての駆け引きだ。
お前は顔に出すぎなんだよ。点が増えれば喜び、減れば落ち込む。
良い手が入れば目の色を変え、手が悪ければ不満気な顔をする」
池田「はい…」

久保「わかったのなら、その陰気くさい表情をなんとかしろ。
まだ予選は終わってはいないんだ。次はぶちのめせよ」
池田「は、はい…!」

久保「…まあ、次も無様な試合をやるようだったら」

久保「私がお前をぶちのめして、一生笑えないようにしてやろう」
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【対局後記】
1位 T氏(津山)
「ハイパーむっきータイムでした」
2位 M氏(透華)
「リーチの2役は強かったです」
3位 与一氏(池田)
「天国と地獄を一局で両方味わえる。
池田はそんなキャラでした。
結果はアレですが面白かったなぁ」
4位 Y氏(蒲原)
「うまくいかないなあ?、ワハハ」